海外出張(中国のオフショア企業の視察)

初めての中国海外出張。人生2度目の海外(1度目は高校時代の韓国)である。

出張と言っても、今、自分自身が抱えている案件には関連しないが、会社としてのオフショア先の視察が目的である。

視察メンバーはうちの会社のプロパー約15人(うち1人は中国人)
視察先は2社。1社はすでに取引あり。
7/2-3は大連、7/3-5は上海で、大連-上海間は飛行機で移動した。
(中心の青いマークが大連、上海はそこから800kmくらい南)

視察の内容はあまり詳しく書くとまずいことになるかもしれないが、まずくない程度で印象を書いてみようと思う。

  • 出張前
    • 中国は日本とは国民性が違い、責任感に欠けている
    • 仕様書に書いたことしかやらない、書いたことすらまともにできない(異言語という問題もある)
    • オフショア=とにかく危険
  • 出張後(少なくとも訪問先の企業に関して)
    • プロジェクト管理は日本の会社(自社しか知らないけど)と同じくらいかそれ以上にしっかりしている
    • 良いか悪いかは別として、日本の発注元の仕様変更の多さにも慣れている。
    • 異言語という問題は消えることはないが、マネージャクラスの日本語能力は高い。
    • オフショア=危険かどうかは日本次第、中国の彼らは能力は高く、発注の仕方次第で品質もコストも十分に確保できる

180度とは言わないが印象は大きく変わった。
すっかりと中国側のプレゼンと接待に負けてしまったように思うだろうが、プレゼンの内容はある程度差し引いている。将来の発注先が訪問に来たら、そりゃ美辞麗句を並べるし、質疑応答だって前向きな回答をするからだ(しかし、それは日本国内だって同じである)

逆に言うとそれを見抜くために訪問側のわれわれのヒアリング能力が問われる。のだが、はっきり言ってみな準備不足だったと思う。聞く側に徹してしまい、質問はもちろんするのだが、重箱の隅をつつくだけのものや、「そりゃそう質問されたら、そう答えるだろう」という内容の質問がほとんどだった。社内で準備のための事前勉強会などがあってもよかったと思うが、これは今後の視察のために会社に意見しておこう。

で、本題に戻って出張後の印象だが、私自身はJavaがメインなので、中国の開発者のJavaのコードをサンプリングして確認しないと品質については本当のところはわからないが、マネージメントは会社としてしっかりと取り組んでいるようである。中身を聞くと日本よりしっかりしてるんじゃないかと思うほどだ。ちなみに品質基準については2社ともCMMIのレベル3を取得している。

まあこれだって実際どうなんだ?というのはある。うちの会社も「品質管理」「進捗管理」「プロジェクトマネージメント」はしっかりやっていると標榜しているが、赤字PJはたくさん抱えている。なので、実態はわからないんだけど、日本語が恐ろしくペラペラな中国人のプロジェクトマネージャとの質疑応答では、施策や理想などのうわべのものではなく、「自分自身の考えるプロジェクト成功とは」について経験に基づいた本音の部分を聞くことができ、それがとてもリアルでとても誠実でとても理論的だったので、正直感動してしまった。具体的にはこんなやりとりがあった。私の会社のメンバーが「オフショアプロジェクトが失敗する原因はやっぱり仕様変更の多さですかwww」と笑いながら冗談ぽく質問していた。私もそうだろうなぁと思っていた。が、その中国人は流暢な日本語で「トラブルが発生した際に原因を公平に追究せずに、責任を押し付けるのが一番良くない。なぜならば現場のモチベーションが下がるから。仕様変更が多いことが問題ではない」と熱く返答した。

実際のプロジェクトの事例を聞いて、うちの会社で(少なくとも私のまわりで)出来ていなくて、訪問先の企業でできているのは、

が挙げられる。自社で出来ていないのが恥ずかしくてこんなことを書くのも気後れがするが事実である。それをオフショア先ではちゃんとやっている。逆に言うとこれくらいできないと価格だけでは競争力も出ないということだ。・・・というのは私自身が感じたことであり、ソースのレビューやJUnitなどは彼らは別にアピールポイントとは思っていない。

結論として、すくなくとも出張前に抱いていた不信感は薄らいだのは確かで、条件があえば発注してみようかなと思っている。